葬儀

       

葬儀にあたり 色々慣れない事が多く また、 短い時間内での決断を迫られるので 業者の方におされ気味。  叔父が住職である事から その点は 随分とアドバイスをもらったり、 直接交渉に応じてもらえたので 心のこもった悔いのない送り方が出来たと ほっとしている。 


一番びっくりしたのは 湯棺、 病院で亡くなった直後 清拭しお清めもすませている。  それなのに もう一度業者の方が 天国に行くために 更なるお清めをっと 勧められる。  言葉巧みにすすめられると ふっと そうする事が良いように思ってしまいそうになる。  入浴サービスが介護保険に伴い ポピュラーになり それに付随して 近年広がりつつあると言う。 母は もう病院で 晴れ着を着せてもらい 手もしっかりと合掌していたし ましてや 再び 小さくなった身体を 人目にさらすことは 拒んだと思うので 即、お断り。 


世間一般の習わしに従えば 流れに沿って 任せられるので 楽な点もある。 でも、母は84歳。 母の直接のかかわりのある 友人たちは 体調を崩されていたり 亡くなられたりされているので 近親者と家族同然の母のお世話を下さった方達と 2〜3人の知人にだけお知らせした。 お香典も勝手ながら辞退させていただく 我儘をお許しいただいた。


お香典と言うのは 昔は 村をあげての葬儀となり その時の村の世話役が 会計を受け持ち 全ての葬儀の支払いを済ませ 尚且つ 遺族が一ヶ月 生活に困らないようにとの配慮から 集めたものとの事。  村八分と言う言葉も どんな嫌われ者でも 火事の時と葬儀の時の二部は 助けてもらえるという意味合いのようである。  社会形態が変化し 暮らし向きも多様になった今、 葬儀のあり方も 色々あってよいと思う。


お寺の家族と言う事で 山門が開けられていた。  昔、少々ハイカラだったお寺のとうさん(嬢さん)といわれた母、 当時の若い衆たち(今はご高齢)から 母の消息を 何度かお尋ねいただいたようである。  そっと 人知れずお参りくださった方がいたら ロマンチックな事が好きな母は 天国でくすくすっとほほえんでいることだろう。