利休にたずねよ

少し前の事になりますが「利休にたずねよ」みてきました。これは本を読んでいたので 映画ではどのような作品になるのか 興味がありました。

本の中の美しい所作の表現に想像力をかきたてられ 自分なりにイメージを膨らませ 茶花の椿の赤さの色合いまでも 何となく心に描いていたので重なるところもあれば 少しずれを感じてしまうこともありましたが 素晴らしい映画でした。日本アカデミー賞優秀賞9部門での受賞作品です。

本の中での利休像も 高い美意識、独創性に富んだ至高の芸術家を枯淡の境地で茶道に専心する 私達がイメージを描いている人間像として 勿論描かれています。それに留まらず、そこまで芸術性を高めた情熱の人として 若き日の利休の叶わぬ恋が もの悲しく,しかし力強く背後に流れています。鍵を握る緑の小さな壺、後に、秀吉の逆鱗に触れることにも・・・

映画では 海老蔵の目力,所作、風格など見応え在りました。また、利休の師、武野紹鴎役を亡き團十郎が演じ、親子での共演が印象的です。利休の強いキャラクタを引き立てる 個性豊かな役者揃い!また大徳寺神護寺南禅寺などでの撮影、実際に長二郎作の黒楽茶碗使用など これはまさに日本文化を象徴する作品です。

70歳にして秀吉の命により切腹する利休ですが 利休が死に臨んで詠んだ漢詩(遺偈)からは 物静かな利休というより 死と向き合って 沸き立つ気迫、息吹さえ感じられるのですが・・・

人生七十 力圍希咄
吾這宝剣 祖仏共殺
提ル我得具足の一太刀
今此時そ天に抛