薫風

市長選に向けて 私達の町、小田原について考えてみる。  先週、画期的な2つのフォーラム(7日・小田原はどうあるべきか。8日・市長候補3者による討論会)が開催されました。  この事だけをみても 何か小田原に新しい風が吹き始めたように思います。 

人口19万5千人の私たちの町は 1週間後に市長選挙を迎えます。 三人の候補が、それぞれにマニフェストを発表し、選挙戦が繰り広げられています。


4年前の市長選挙では投票率43%有権者の半数以上が 棄権するといった意識の低さが 目立ちました。 ところが、今回の市長選挙には 快活な一人の若者が 未来に羽ばたく新しい街創りを掲げて 立候補しました。  さらに、二人の60代の方達も 住みよい活力のあるまちづくりを スローガンに立候補し、選挙戦に 従来にない活気をもたらしています。


これまで三立候補者による政策討論会が 各地域の公民館などで 催されました。  先日、3者による討論会が 市民会館で行われ、1000人以上の市民が参加し 大いに盛り上がりました。  対立候補者が 討論会で自分の主張を述べ合うのは 初めての試みであり、住みよい街創りに 寄せる市民の関心と、新しい風を感じさせる市長選挙戦が 展開されています。


この討論会では 各立候補者がマニフェストに掲げる 5つの施策について討論しました:1)子育て支援と学校教育、2)行政改革、3)街の活性化、4)高齢者福祉と安心医療、5)安全と防災
このような会合に何度か参加し 各候補の主張を真剣に咀嚼しようとしましたが、 市長を選ぶことは マニフェストだけでは 容易ならざることのように感じられます。  何故なら、大きな政策では、いずれの候補も同じような主張を展開しています。


K候補:生活の安心、安全、充実、地場産力と市民力で街を元気に、市民の声と願いを実現する市政、
Y候補:住みよい活力ある街、安心して住める医療と福祉、無駄を省く行政改革、豊かな教育環境作り、
T候補:安心医療、子育て支援、防災、安全対策、高齢者障害者福祉、地域にあった町造り、行政改革


もう少し細かい政策においてもまちづくり、地域経済活性化、医療と福祉、暮らしと防災、防犯、教育、行政改革の分野で、各候補とも似通った主張を展開しています。  さらに、細かな主張を眺めると相違点があぶり出されます。 例として、子育て教育、医療、福祉、防災について眺めてみると、

  • 候補は  「出産一時金として10万円支給、小学校入学祝い金制度、特別養護老人ホームの増床」
  • 他の候補は「保健士を2倍に増員、健康増進教育、救急医療センターの拡充、道路安全計画策定し、100カ所以上にカーブミラーの新設、地域包括支センターを中学校区ごとに開設」
  • 残る候補は「市立病院での高度医療、包括支援センターを各学校区毎に開設、地域コミュニティー単位の防犯体制、スクールコミュニティーの結成とそのネットワーク化」 といった具合に 具体策としても一長一短が感じられます。


でも、 ちょっと待って!です。
現在、市の借金は既に1500億円にもなっています。  この借金を早期に圧縮すると公約する一方で、多額の出費を伴う 盛りだくさんの約束をしています。  その予算は一体どこから出てくるのでしょう?  


私たちの市は、既に高齢者の比率は25%を超えています。  人口は20万を超えることなく推移しているので、ますます高齢化が進むことでしょう。  更に年金生活者が増えるのですから 住民税の増加は期待できません。  地域経済の活性化を根幹に置き、市の収入を増加させること無くして、福祉や教育や防災の強化に回せるお金は 捻出できないのではないでしょうか?


市役所職員を100人以上削減する、予算を5%削減する、といった具体的な提案が出されています。  「出るものを制する」点で重要ですが、「入るもの」を増やす施策なくしては 持続的な拡大発展は出来ません。  その辺りの戦略については、地域参加型で、元気ある高齢化社会を実現する、地域資源を生かして新しい価値を創造する、といったような抽象的扱いで 選挙戦が戦われていることは、ちょっと心配です。


とはいっても、候補者が大風呂敷を広げる街頭演説や、立会演説会だけで判断する従来の選挙戦より 大いに前進した市長選挙が展開されています。  就任した暁には 具体的な経済活性化対策を実施し 小田原の特性を生かした 身の丈にあった町おこしを 市民の意見を吸い上げつつ リーダーシップを駆使して変革していける、やる気のある方に一票を投じたいと思います。