蝉のソフトな調べ

35度を超える酷暑も ようやく朝夕には秋近しのきざし。  早起き蝉のクレッシェンド合唱で 何度か目覚めた夏の日も 今は、徐々にフェイドアウトするかのように日々ソフトに。  今日は、そんな蝉時雨の覚書。


田舎の生活で、豊かな気持ちをはぐくんでくれるのは、自然の営みを間近に感じながら生活できること。  わが家の庭は、セミたちのホームグラウド。  セミたちは地下からノソノソ出てきます。  所かまわず昇り初め、 昇り詰めたところで堅い衣の背中から真っ白な身体を現します。


目だけは初めから茶色。  生まれた瞬間から短い一生を見逃さずという風情です。  私が近くで見ていようと気にする気配もありません。  真っ白に輝く身体は、やがて羽が伸び、本来の色に変色します。  その間小一時間、微動だにせず、羽が乾きシャンとするまでじっと待っています。  


夏の盛りには 空蝉が庭のあちこちに。(画像)それと同時に 短い命を絶えた蝉も。(こちらの画像はちょっと可哀想なので写しませんでした)


庭にある数本の松の木、 二本のサクラの木がセミたちの楽園となります。  セミたちの合唱は自然の目覚まし時計。  うだるような暑さの1日の始まりを教えてくれます。  


雨の日の蝉時雨はありません。  雨が上がりセミたちの忙しい歓喜の合唱が 暑い太陽が戻ってくることを教えてくれます。  どこかの天気予報より正確かも・・・


東京にはいるけど この地域にいないセミは「ミンミンゼミ」。  こちらにいて、東京にいないセミは「クマゼミ」。  東京で生まれ、田舎を終の棲家とする夫の独りよがりの解説です。  


環境汚染の影響だろうか?  ヒグラシ、ツクツクボウシといった華麗で上品なセミたちはほとんど見られないなぁ〜」 夫がぽつんと言いました。  涼しい秋を心待ちにしているのに 何故か夏の終わりの夕べに寂しさも伴うので不思議です。