ノクターン

時わすれ 静かな秋夜に 身をおけば
月の雫の こころにしみる(s)
秋の夜、 ノクターンが聴きたくなりました。  夜想曲は イギリスの作曲家フィールドが始めたものですが ショパンが余りにも有名です。  20代の頃 映画「愛情物語」の影響をうけて ショパンノクターンに憧れ、ピアノに触れる時間も当然長かったのですが ため息の出るような美しい音色は とても、とても無理でした。  若かりし頃、フォーレ夜想曲は難解で転調も多く高度なテクニックもさることながら 関心も余りなかったように思います。


いつの日だったか読んだ本に フォーレを理解するには 文学や詩に親しんでいる人でないと難しいと書かれていて そうだろうなぁ〜っと 自分の無知さに納得したことがあります。  フランスの象徴詩を 音楽によって表現した作曲だという意味あいのようだったと思います。  


そのフォーレを 昨年あたりから この晩秋にとても聴きたくなるのは 矢張り人生たそがれ時になると、不勉強でも色々な体験を経て、この曲にストーリーやポエムを感じ 自分なりに楽しめるようになったのでしょうか?


13番まであるこの夜想曲、 前半と後半ではまるで違った曲想です。  私自身は3番と6番の 神秘的な夜のベールに包まれた世界を独り占めして ピアノから飛び出した音色が 戯れて舞うかのような優美、壮大そして繊細さが好きです。  今宵も静かな夜の甘美なメロディを聴きながら このブログ書いています。  


後半は ベートーベンと同じように聴覚障害を患い そのせいか悲しさがあります。  そろそろ夜が明け 夜を楽しんだ音符達の世界が終焉に近づく嘆きのようにもとれるのは独りよがりの解釈です。


ピアニストはエリックハイドシェック。  コルト―から伝授された奔放な表現で定評がある個性的なピアニスト。  余り難しい技術的なことは分かりませんが 聴いているとまるで絵画を見ているかのようにイメージが涌いてくる気がします。  ハイドシェックは きっと文学や詩にも造詣が深いのではないでしょうか。 ハイドシェックモーツアルトも聴いてみたいです。