足柄刺繍

 

以前、「家族に乾杯」というNHKの番組で 小田原が紹介され、 その折、今まで知らなかった 足柄刺繍がこの地にあることを知った。  まさに、灯台下暗しである。  この伝統工芸の唯一の伝承者、上田菊明氏とそのお弟子さんたちの展覧会が 小田原城で開催されていて 本日が最終日との事。 何気なく手帳にメモしておいたことで 見逃さずにすんだ。  写真左は上田氏の作品で刺繍です。  右は菊花展で。


絹糸を一本一本、ぼかし染めにし その繊細な色のグラデュエイションを生かしつつ 芯肉を入れ 立体的に一針一針さしていく 気の遠くなるような手仕事である。  明治末から大正にかけて この技術が小田原地方に一大産業として栄え 衣類等として横浜港から輸出されていたとのことです。  戦争を機として 不況や技術者の老齢化で途絶え、幻の技術となっていたものを 上田氏が当時の利点を取り入れつつも 新しい大胆な試みを試行錯誤し、伝承保存に努めておられます。  日本の色合いが お城の一角で はんなりと優しくあでやかに輝き 心を満たしてくれました。


同時に 城址公園では菊の花の展示会もありましたが 明日の審査日を控えて 全てを見ることは出来ませんでした。  菊は子供の頃 大阪の枚方の菊人形をみに 毎年家族で出かけていた思い出があります。  父が上手に手入れをして 育てていた記憶につながり なんとなく胸がきゅんとなる想いがします。