唐種招霊

この花、何処となく格調高く、気品があるように見えませんか? 爽やかな新緑の風がまわる中、夕刻から、あまぁ〜い芳香を漂わせ、この木の近くまで誘われるのですが 直接に香を楽しもうと顔を寄せても香りません。 バナナのような、ほのかに甘い香のウエーブを感じるだけ。

これは、「からたねおがたま」と、名づけられている古事記に登場する古来からある木です。

日の神とあがめられ、皇室の祖神、天照大神は 天岩戸に身を隠され 世の中は闇夜に。 あらゆる手段を講じるのですが、なかなか岩戸からお出ましになりません。 そこに、アメノウズメノミコト、一枝を手にし、舞を舞うと、見物客の囃し立てる 楽しげな騒ぎ!  
この騒ぎは一体何事? 好奇心にそそられ、そっと戸を開けられ、お姿をお見せになられた大神。 めでたく世に光がもどり、明るくなったとのこと。 この時の踊りに使われたのが この花の枝−即ち 唐種招霊(カラタネオガタマ)だそうです。 この木が神事に使われる木として 神社などによく植えられているのも頷けますね。   

原爆供養塔の左右にも植えられているそうですし、神話の里、宮崎県の高千穂地方に沢山見られ 町の木とされていることも 古事記にあるお話から うかがい知ることが出来ます。 この木は 成長が大変早く、それに丈夫です。 さて、ヒマワリも一枝片手に踊ってみるかな? いやいや、ついに・・・と、逆に岩戸に押し込められるかも・・・(笑)