和食 and 漆器

美味しいおの季節は和食が特においしい。  大豆をことこと ルクルーゼのお鍋で煮る。  ちょっと甘じょっぱい 大豆の葡萄豆。  よく浸してじっくり煮たお豆は もっちりしていてお茶請にも良い。  今、命のスープ、大豆百粒運動などで有名な辰己芳子さんのお母様、辰己浜子さんの葡萄豆のレシピを 未だに使っています。  大根とイカの煮物、 ほうれん草のごまあえ、 青菜のお味噌汁といくら丼。
いくらのしょうゆ漬け。  これだけは漆器にいれるより ガラスの方が宝石のような輝きが楽しめてよいかなぁ〜っと。  ただし、スプーンは 優しい感触の木のスプーンでないと 可愛い粒をこわしてしまいそう。  ぬるま湯で丁寧に洗う処理を面倒がらなければ いつもおいしくできる。
今年の結婚記念日に買った器。  全ていれこになって場所をとらない。  軽くて使うほどに艶が出てくるらしい。  谷崎潤一郎の「陰影礼賛」の光と影の描写のなかで 黒塗りの漆器のお椀からフワァ〜ッと良い香をのせた湯気がたち そのお椀の中で はんなりと椀だねがゆらめくというような印象的な描写があった。  


思わず 海老しんじょうや鯛等の淡い色合いと 三つ葉やほうれん草の緑が 黒塗りのお椀の中で泳いでいるのが見えそうな気がした。  これは日本人ならではのこと。  熱伝導の弱いだからこそ、手に持って口先まで運べるし スプーンを使わないので 汁物をいただくには 矢張り口先まで食器を持ってくるしかない日本の習慣。  洋食でスープ皿を持ち上げないのは スプーンでいただけることと、 取っ手のない瀬戸物は 熱伝導率が良いので 熱くて手で持つのは大変、  それに形も持ちにくい。 

この漆器の柔らかい形が好き。  ちょっと頑張って手に入れたお陰で 優しい気持ちで食事が出来るので 贅沢ではなかったとおもう。  このまま、布製の袋にいれれば 旅行にでも持っていけそう。  実際、知人はお母様の入院中、 病院の食器では味気ないからと この食器を持参されたそうだ。 言うまでもなく ご快復が早かったようです。