昨年は 毎月のように帰阪していたので 新幹線に乗る機会が多かった。 ある時、一人の着物姿の老紳士をお見受けして ホームでピタッと私の足が止まったものだから その方も、けげんそうに私を見られた。
その方にとっては私は one of them. 会釈をして その場を通り過ぎた私。 その方も会釈をかえして下さり お弁当を買ってスタスタ グリーン車へ。
15年くらい前だろうか? 当時、英語塾を開設していて毎日が多忙。 違った世界に触れてみたいと言う思いと 自分の指導力の未熟さゆえ、壁にぶつかり 突破口を求めて 東京での東洋思想の勉強会に 毎月通っていた。 その最初の講師がこの着物姿の境野勝悟先生。
忘れもしません。 先生は ゆったりと, 朗々と出典の列子,黄帝篇寓話を読み上げ 朝三暮四について 色々な例を引き合いに出され 心に残る講座をされました。 英語では Difference between Tweedledum and Tweedledee.
要略すると こんなお話。 宋の国の出来事、 老人は貧しさゆえ 猿にあげるどんぐりを減らす必要に迫られ 「朝に三つ、夕べに四つでどうじゃ?」 猿は 「嫌だ嫌だ」と怒ります。 「ならば 朝に四つ 夕べに三つならいいか?」猿は大喜び。 同じ事なんだけど・・・(でも、この時勢では 何が起こるかわからないから 頂くものは 早くいただいたほうがいい?)
この事から 目先の利害にとらわれ 全体像が見えないこと また 人を口先でうまく騙す事に 朝三暮四はつかわれます。
先生は もと、栄光学園で教鞭をとっておられたのですが 創造力より 記憶力重視の東大ストレート合格者を教育する事に むなしさを感じられたと話されたのを覚えています。 内容はもっと奥深いものでしたが ここでは書ききれません。 。
その後、しばらくやめていた 雑誌 致知の購読を始めたら なんと 先生と曽野綾子さんとの対談が その月の特集でした。 現在も沢山の著書を出しておられ、講演活動も勢力的にされていると知って嬉しく思っています。
高校生700人が声もたてず真剣にききいったという 講演碌「日本の心の教育」読んでみようと思います。
新幹線、静岡でひかりに乗り換えるため下車。 あれぇ? 先生も降りられました。 そして 又お弁当を求められました。 さっきは朝ごはんで 今度はお昼ご飯? それとも 朝三暮四ならぬ 朝ニ昼無? (失礼致しました)