ローマで語る

ローマ人の物語15巻の大作著者、塩野七生さんは 映画に関しても造詣が深い。映画制作に関わる息子のアントニオ・シモーネさんとの対話形式で書かれた本、「ローマで語る」読了。

私自身は 映画鑑賞は、本当に観たいと思うものだけか 無類の映画好きのマッスル君に 引っ張られてついて行く時くらいなので この本の中で 語られている映画(特に、イタリア映画)については 観ていない物のほうが断然多い。DVDがあれば 是非鑑賞してみたいと思わせてくれるような着眼点。図書館にあればいいな!

しかしながら、この本は 映画のことのみならず イタリア、アメリカ、日本の文化的な要素の比較、映画に関わる裏話、ひいては親子の対話など 興味深い。

例えば 映画に関してアメリカでは これはビジネスととらえ 制作着手までにもじっくり構想を練り、時間をかけるのに対して イタリアではアートとして その時々の感覚を大切にする。アメリカでは システム化されているので 個々の責任所在がきちんとしているが イタリアでは 組織だっていないので 効率的な仕事が成されず コストがかかり 時間的なロスもありうるなど。

美を重んじるイタリアでは 制作過程での食事も みんなで楽しみながら 美味しいものをいただくものらしいが アメリカでは チキンが多く それも立ったままだそうだ。双方の映画関係の仕事に携わった息子さんの映画制作の裏話も 面白い。

シモーネ氏が 映画関係の仕事に関わるようになったいきさつとして 幼少の頃の頃より、黒澤明監督との出会いから受けた影響が大きかったとのこと。塩野さんの黒沢映画の作評を 黒澤監督の目に留まったことが そもそものご縁のはじまりだったとか・・・「僕は、いつも母親の意見に 耳を傾けます。でも大体が 美に対して敏感なメンクイの 女性の意見です」と、シモーネ氏。。。。

それにしても 対話のテーマを提供し インタビューアーとして 息子の意見を掘り起こしていく母親の塩野七生さん すごいです。
私など いつも息子の論説に丸め込まれてしまい ぐぅ〜の音も でないんですけれどもね。