*[本] 言語と文化
私達が外国の言葉を理解する時、自国の文化や言葉に作用されているかの例として 二つのことわざを 本の中から紹介させていただきます。
It never rains but it pours. この本を読むまでは 私の理解も 「降ればどしゃぶり」つまり、余り良いイメージではありません。しかし、著者の分析によると 外国では 「不幸や幸運は決して単独ではやってこない」「二度あることは三度ある」と説明されており、悪事と限定していないのです。
これは雨という概念が 日本人には暗いイメージがあり どしゃぶりとなると 潜在的に幸運とは結びつかず 悪い意味合いに限定させたのではないかということです。
A rolling stone gathers no moss.「転石苔むさず」私達は「石の上にも3年」落ち着き無く動き回っていると 能力が身につかないという意味合いで イギリスや日本では解しています。しかし、アメリカでは 動かないと錆び付いてしまうよという意味合いで逆にとらえられています。
若さや新しい事への挑戦を大切にするアメリカの文化では 苔は余り良いイメージではないようです。
言語は その国の潜在的な文化や価値観が尺度となっているので 外国語の学習をする場合でも 自分の国の文化と照らし合わせて 問題意識を持たなければ その国の隠れた文化が見えてこないという 厳しいご指摘、尤もだと思います。
この他、用語の定義、形容詞のかくれた基準、日本と西洋の動物観、日本語の人称代名詞についての考察からも 相手を重んじる日本文化がなど新鮮な視点です。ここでは書き切れません。
1970年代に出版された本でありながら 対話外交と言われる今日、言語とその国の文化、新たに読んで見ようと思った次第です。