時の話題、JALの経営不振、外国航空会社とのタイアップなど かなり押し迫った状況下のタイムリーな映画。観客も多く満員だったと聞いていましたが ほとぼりが冷めたのでしょうか、その日はたった5〜6人の貸切状態。
日本が経済大国として目覚ましい躍進をしている時代、利益追求に固執するあまり、軽視された部分のあまりにも大きな犠牲。そんな中で信念を貫こうとする社員の追い討ちをかけるような不当な待遇。その波は家族にも当然及ぶ。
空前の大惨事、御巣鷹山の日航機事故が私達の心に痛く刻まれているので 人命の尊重という点からも企業理念を私達は軽視できない。企業のあり方、社員の信念、その家族の問題、事故、犠牲者の方々、犠牲者のご家族の様々な思い、事故後の企業の誠意の有無についてなどの場面が断続的に映し出されるが どの場面も企業の取るべき態度と関わりがある。表面には出てこない深いところでの革新的な改革、改善が望まれる。
娘は主役を演じた渡辺謙の英語が アメリカ映画に出演する時の英語と違って日本人なまりが強くでていると言う。これも映画の設定で 日本人の駐在員役としての英語にしていると感心していた。アメリカに住みアメリカ企業で仕事をしている娘は 日本の企業との違いも感ずるところがあったようだ。
3時間20分という長時間の映画だったが その長さを感じさせない壮大なスケール。原作は最初、週刊誌に連載され、結構問題になり 映画化も話にはあったのに すぐに実現には至らなかった。 今回、映画化されたことにより 改めて個々の胸にあのあってはならない大惨事、暑い夏の日が思い出されたことであろう。ご冥福をお祈りいたします。