民主党圧勝

4年ぶりの衆議院選挙:民主党の圧勝で幕

8月30日の全国衆議院選挙で、民主党は現状の115議席から308議席へと 地滑り的な勝利をおさめました。

民主党マニフェスト(政策公約)を、早急に発表し、それを忠実に実施することを国民に約束、政権交代への選択を国民に迫りました。マスコミも、経済不況下の失業率の増加、契約社員派遣社員の解雇、所得の目減りなどの解決策は 政権の交代が鍵であるかのような報道をつづけ、民意を煽りました。選挙以前に、既に政権交代風潮が高められ、予想通りの結果となりました。

出口の見えない不況下、即座に、生活を改善してくれそうな おいしそうな民主党マニフェスト!さて、そのマニフェストは、どんなメリットや疑問点を私たちにもたらすのでしょう?

まず、メリットは、どれも私たちの生活を 直接助けてくれるものが多いことです。
1) 子供のいる家庭に、一人当たり年間31万円強の子育て支援手当支給
2) 公立高校授業料が無料、私立に通う子供を持つ家庭には12万円〜24万円支給。
3) 年金の最低補償額を7万円に引き上げ。
4) ガソリン税廃止、ガソリン値下げ。
5) 高速道路使用が無料
6) 農家に戸別に補償金を支給
7) 消費税の引き上げは4年間なし
8) 最低労働賃金1000円を目指す
9) 介護労働者賃金を月額4万円引き上げ
10)中小企業の法人税を現行18%から11%に引き下げ

など、多くの人々が直接的に現金を得たり、コストダウンによる支出の減額、増収など、目先の生活が改善されそうな美味しいプランのオンパレードです。

さて、さて、疑問点は?
1)これらを実施するには16兆円以上のお金が必要です。その財源はどこから? ムダの廃止とか埋蔵金などで捻出すると云っていますが、本当に可能なのでしょうか?しかも、これらの支給や廃止は、一回限りではなく、続けられるべきものであり、毎年、巨額の資金捻出が必要です。その資金の調達について、民主党の説得力のある答えは聞こえてきません。

2)子供手当の考え方は、子供の養育費が高いことが根底にあるので、家庭補助は現金支給と、教科書の無償化、給食の無償化、授業料の無償化等と組み合わせるべきです。

3)高速道路の無料化やガソリン価格の引き下げは、自動車使用の機会を増やします。したがって、炭酸ガス排出量の増加になり、環境保全改善に逆行します。流通業の運営コストが下がるのは好ましいのですが、一方、公共交通の利用低下が起こり、経営難が起こりえます。 渋滞も見逃せない問題で、高速路線バスなどの運行に支障がでています。環境への悪影響のほか、経済活動のメリット、デメリットが評価されぬままの実施は危険を伴います。

4〕最低賃金を増やすことは良いことですが、日本の現状は、700円前半への最低賃金引き上げもしにくい経済環境です。また、最優良企業のトヨタでさえ、大幅な赤字を出すほど日本の企業は、体力を消耗しています。多くの企業は、派遣社員やパート社員の活用で人件費を引き下げることにより、厳しい国際競争に対応しています。こうした企業の活力をさらに奪う恐れが高い方策と考えられます。

今求められていることは、日本の企業力(中小、大企業を問わず)を強化し、国内のみならず、海外市場で大いに売り上げを伸ばすことであり、その収益をいかに多くの社員に還元する施策でなければならないと思います。

5)子供手当は、教育を受ける機会を向上するでしょう。しかし、資源小国の日本の命運は「人材の育成」が大切です。物づくりの伝統を守る人材育成策、先端科学、技術分野で世界をリードする人材を育成する教育プログラムなど、教育の根幹となる戦略が明記されていない民主党マニフェストには 将来が見えません。これからきめ細かくしっかりとお願いしたいものです。

しかしながら、これだけ国民の支持を得た民主党です。重責をしっかりと受け止め、頑張ってもらいたいと思います。

色々書きましたが 長年、惰性で行われてきた自民党政権に失望した結果の政権交代、とりあえず良かったのかもしれません。 選挙投票率からして今回は、国民の関心も高かったようですし、自民党大物議員の体当たりの選挙運動も 過っては余り見られない光景でした。

この機会に自民党は、野党としてきちんとチェック機能を果たし、再生を目指してもう一度しっかりと自党を見つめなおしてほしいものです。緊張感のある政治そしてバランスと言う事も大切だと思います。そして更に大切な事は 私達、国民一人一人が関心を持って、関わって行く社会にして行くことだと思います。