奥様のお話によると「朝、戸を開け、いつもはすぐに外には出ないのに 何故かその日は無意識に外に出ると、枯葉の中で何かごそごそってしたのよ。 そっと見てみると 弱弱しい一羽のきれいな鳥がうずくまっているの。猫にでも噛まれたのかなと思っても 傷跡は無い様子。どうしたの?っと撫ぜてもじっとしていて・・・寒いのでそっと枯葉をかぶせてやって 玄関に入ろうとしたら ちょっ ちょっとついてくるのよ。それでそっと抱いて家の中に入れてやってテーブルの上において お水をあげても 飲もうとしないし、何も食べようともしないで 目を閉じてうずくまったままで・・・」
予てより、入院中のご主人様のご容態も芳しくなく、奥様はご家族の方と病院に行って 束の間帰ってこられたときも 鳥はじっとしたままだそうです。何かの知らせかと胸騒ぎがしたといわれる奥様。その日の夜中にご主人様は永久の眠りへと旅立たれました。
ご遺体がご帰還になると、その鳥は 今までの弱弱しさが嘘のように 元気一杯部屋中を飛び回っていたそうです。「家に帰りたがっていた主人の魂が一足先に我が家に戻ってきた気がする。」と、奥様。 家にお戻りになって嬉しく飛び回わられたのでしょうね。
「その美しい鳥の名は何だろうと調べたら なんとそれは相思相愛の相思鳥なのよ。」奥様からご苦労もあったと聞いていますが ご主人様は、相思鳥にメッセージをのせて、奥様に感謝の気持ちをのべられたのでしょう。「生きている時に言って欲しかったわね」と笑っておられましたが・・・「いまだに どうしてその日に限って外にでたのかわからないのよ」とのこと。
初七日が済み すっかり元気になった鳥をご自宅が見える山に息子さんと放ちにゆかれたそうです。自然環境の美しいところにしか生息しないといわれるめったに見たことの無い鳥、山の上からご家族をいつも見守っていることでしょう。ご主人様のご冥福お祈り申し上げます。