桜

今年の桜は 一際美しい。  本日も陽気に誘われてお花見。  桜吹雪に舞う花鱗。 頑張って最期の美しさをいっぱいに手を広げてボリューム感を出している花、其々、皆、うつくしい。  小田原の桜は何度もテレビで紹介され、お花見客で賑わっている。  素人の私が本日歩き回って写した画像です。

西海子通り(さいかち)の桜。  私のお気に入りの場所。  お屋敷通りにあるこの桜は その昔、近隣の人々が植樹されたもの。  しかし、昭和20年に2本を残して全て伐採されたという。  その後、もう一度桜並木をということで 復活したこの桜のアーチ。  商店街のおじさんが 「お城もいいけど西海子通りの桜は見事だよ」と 観光客の人達に そのいきさつなど説明しながら勧めておられた。  この桜並木の功労者でもある人のようだ。  このように街を愛する人が 真剣に説明されると感動する。
 
小田原城を少し高台から写しました。  お城と桜、絵になります。
この階段を登り さらに山の中へ。  春日の局のお墓などがある 普段はひっそりとしたところは この時期には賑わう。  そこには樹齢300年を超える見事な長興山のしだれ桜がある。  今では、車も規制されているので だんだん歩くには厳しく 加齢とともに「来年はこれるだろうか?」と ふと思う。
お堀から二ノ宮神社にかけての桜。  同じように植えた桜でも 丹沢下ろしの冷たい風があたるところは幹が細いとのこと。  二宮神社横の桜の幹は立派です。
城山ギャラリーのしだれ桜。


桜の花の切ない思い出は 義父と私の父の思い出につながります。  義父は 毎週水曜日には 温泉治療の為箱根のホテルに一泊するのが慣わしでした。  時々、その途中、我が家に立ち寄って 子供達に会うのを楽しみにしていました。  ある時、 「S子さん、箱根の桜が 息を呑むほどに美しく思わず車を降りて しばらくみとれていたよ」と、本当に感動さめやらぬ様子で語っていたのを思い出します。 それが義父の最期に見た箱根の桜でた。  


また、私の父は 心筋梗塞で2ヶ月間入院、 自分でも退院は無理と思っていたのでしょうか?  4月に退院帰宅した喜びが如何に大きいものだったか!  その証を 父がその秋に亡くなったあと知る事になるのです。  実家には 7〜8本の桜の木があり、満開になると2階からは 地面が見えないくらい見事でした。  退院してその満開の桜をみて 父は命をとりもどした喜びと同時に 桜の美しさに今まで以上の感動を覚えたのでしょう。  


父亡き後、一本の現像していないフィルムが見つかり 妹が現像に出しました。  退院直後の日付のそのフィルム、 24枚とも全て2階の寝室から写した桜の花でした。  どのような気持ちで写したのだろうか?と考えると 妹はウッと心が張り裂けそうだったといいます。  寡黙な父でしたが 24枚の桜の写真が 語っています。  その写真数枚は今、セピア色になりつつも 私の引き出しにあります。  この二人の父への想いを 今日の画像に託します。  明日は、旅行珍道中記にもどります。