部屋に春

いつもこの時期心待ちにしている花がある。  近所の方所有の山から切ってきたと いつも下さる。  名前は彼岸桜と聞いたが定かではない。  木に咲いている小さな花は 私の好きな備前焼の花瓶に良く似合う。


釉薬を用いず、また絵付けもない素朴さは 顕著に陶芸家のパーソナリティが表れる。 炎に包まれ 幾日も焼き締められ 窯変していく神秘の営みは どこかしら古代へタイムスリップするような 又時には 驚くほどモダンな斑紋になって現れるという。


備前の水がめ水が腐らぬ」と、言われるように この花瓶に生けると 花が長持ちする気がする。  お酒や醤油、味噌などの製造に備前焼きを使われるのも科学的な根拠があるようだ。  備前焼の内部には 小さな気孔があるといわれ その通気性が醸成を助ける菌の活性化に役立っていると説明を受けた記憶がある。


すくっと伸びた木に 淡いピンクの花を沢山つけた早咲きの桜、長持ちしますようにと 備前の花瓶をひっぱりだして 部屋には春一足早く。  本日は穏やかな日でした。