The Working Poor: Invisible in America
- 作者: David K. Shipler
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2005/01/04
- メディア: ペーパーバック
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先週と今週の2回にわたり日本と外国のワーキングプアーについての特集がNHKで放映された。
ワーキングプアーとは、社会で仕事に従事しているにもかかわらず、日常生活も維持できないような家計経済環境に置かれている人々を指すらしい。 こうした境遇にいる人たちは正規社員として職業につけず、臨時雇いとかパート社員として、安い賃金で働いている。 時間給が安いため何カ所かの職場で昼夜の区別無く働いている人も多く、将来への希望を放棄せざるを得ないような厳しい生活を強いられている。
ワーキングプアーは日本固有の問題ではなく、アメリカ、韓国、イギリスといった経済先進国でも同時進行しているらしい。(画像は米国で限界の生活を強いられている人々を丹念にインタビューした本)
地球規模で、進化変貌する情報化社会に付随して台頭してきた問題であるのかもしれない。 情報化社会は人、物、金が国境を越えて流動することを助長している。 例えば、インターネットで 容易に、商品を外国からでも買うことが出来る。
人々は安くて品質の良い商品を求めるので、最も低コストで作れる国で製造が行われる。 日本に輸入されると、国内メーカーは競争に負けないよう、低コストの製造に努力する。 結果として、企業は製造コストの多くを占める人件費を削減せざるを得ない。 それが正規社員を削減し、低賃金のパートや臨時社員でまかなう結果になる。
日本は資源に乏しく、食糧自給率が低い国であり、経済的に豊かな社会を築くには国の富を増やさなければならない。 外国企業との競争価格設定のためには「物造り」の現場におけるワーキングプアーの解消は、なかなか難しい。
作られた商品が高価で売れれば、給料も増やせるのだから、真似されにくい高品質商品や、新しい商品で新しい需要を創り出す必要性に迫られる。 そのためには、日本が技術立国の道を進み、新しい技術の開発と 他にない新しい商品を世界市場に提供することが求められる。
それには、労働者の意識改革や人材育成がより必要となってくるのではないだろうか? 政府が企業の協力を得ながら、技術再教育の促進が望まれる。 日本人がこれからも豊かに生きてゆくには、私たち全員、特に将来を支える若者達が 知的生産に寄与できる素質を身につけてゆかなければいけないのであろう。
NHKのドキュメンタリーは いつも楽しみに見ている。 今回の報道で 意識的に避けたのか 国や地方自治体に対する不満や憤りの声はなかった。 アメリカやイギリスでは 既に国や州の政策として ワーキングプアーへの打開策が動き出している。 わが国はこの点で見習うべきものがある。
期日が迫っている提出物があり、今週ブログお休みします。