植木屋さん

   


植木屋さんが 入って すっきりした。  木が 徐々に、茂みを深くしていた。 日々の 遅々とした変化ゆえに ある程度 生い茂ってからでないと うっとおしさも 感じない。  しかし、 ひとたび 植木屋さんの手で チョッキン チョッキン してもらうと わぁ〜こんなに 陽の光が 入ってくる!っと 感激する。 


本日、 秋の兆の 透き通るような光が 松葉の間から きらめいて 美しい事!  途中、 何度か 夫の仕事の関係で 留守にしているが この場に住んで 30年余り。  今にして思えば 最初に お願いしていた 植木屋さんが 如何に卓越した 剪定技術を 持ち合わせておられたかがわかる。


その植木屋さん もう今は ご存命ではないが 当時もかなりのお年。  ハイカラな ニッカーボッカーに ハンティング帽、 ピカピカの革靴で 先ずは 挨拶に来られて それから 仕事に入られた 小さい 可愛いおじいちゃま。  目が片方 不自由で 大丈夫かなと はしごに登られる姿を 心配した。


若者との ペアーで 来られるのだが とにかく はしごを組むのに 半日かかり、  その上、 お茶の時間が う〜んと長い。  その長いお茶の時間に じぃっと 松をみつめて 松からの メッセージを受け どのように剪定すべきか 対話しておられたのだと この頃、わかるようになった。  


その後 色々な植木屋さんに お世話になったが 最初の頃の あの 櫛で さっと撫で付けたような 華麗な松葉にしてもらえる事は その後一度もない。  最初から 優れたものに出会うと それが当然と思って どれくらい優れているか わからない。  


一度 増築時、 大きな松ノ木を 必要に迫られ 植え替えてもらった。  その植木屋さんは その後、 しっかり根付くまで 風の後、 大雨の後 そっと 垣根越しに この木が 大丈夫かどうか 見に来られていた。 本当に 木を愛す プロだったなと 改めて思う。


年を経て、 松ノ木も 大分傷んできたので 今回は 剪定どころか ばっさり切り落とし すっきりしていただくよう お願いした。