見出された江戸時代絵師

        

東京では 残す所あと2日間の展示−プライスコレクション! この後の 京都で見てもいいのだが 急遽 友人と 話がまとまり 国立博物館へ 足を運んだ。  


18世紀半ばの 京都には 個性的な才能の 絵師たちが 集まっていた。 正統派から 逸脱した画法ゆえに 日本美術史の中では 異端扱いされていたようだ。  その魅力を プライスは 独力で理解し スポーツカーを 買うつもりの予算を 若冲葡萄の絵に魅せられ その絵を購入。 その後 江戸時代の 絵画収集に 情熱を注いだと言われる。 一人のアメリカ人によって見出され 戻ってきた江戸の美術。 素晴らしい数多の作品展示。


私、個人としては カラフルな絵よりも 墨の濃淡、筆線の強弱、 そして 迷いのない 大胆な筆運び、 対照的な繊細な描写の 組み合わせに 魅せられた。  空白の妙味が リズム感 バランス感を 感じさせ より躍動的な 印象を与えている 気がした。  彩り豊かな絵も 水墨画も 構図の面白さに 奥行きを感じ 自由闊達に 楽しんで描いている 印象を強く受けた。


移りゆく自然の光を 照明器具で再現した展示室。 光の受け方によって 変化する金泥の輝き そして違ってくる絵の細部の表情。  一日の移ろいの中で 金箔を張り巡らした屏風や 絵画に 採光による変化を楽しんだ 当時の美意識!  恵まれた人たちだけの 優雅な豊かさだったのでしょうけれど…


それにしても 今回の展示では 虎、虎、虎!  沢山 いましたぞ!  タイガースファンが 大喜びしそうです。  当時、日本には 虎が いなかったので 毛皮を見て 想像で描いたり 中国の絵を お手本としたと言われています。  そのせいか ちょっぴりユーモラスな 虎もいました。


一昔前は 下品だと 展示されなかったと言う 「鳥獣花木図屏風」 まるで 極楽浄土のような大作。  プライスは このパターンを 自分の浴室に 取り入れていると言う事です。  お里帰りの この江戸美術、 この後、 京都、九州、愛知と 巡回するそうです。  もう一度 京都でみたいな!