染色

  

幼い頃 草花や 野の草の汁を絞り 色水を作って 涼を招いた夏の遊び。  うん十年の年輪を重ね 同じような遊びを楽しむ企画が 裂織の先生案で実現した。  幼き日々の あの夏の思い出。 ガラス瓶を通して 透き通った朝顔の赤や 瑠璃色の水を 太陽に透かし きらめく美しさに 感動したあの頃と同じ わくわく感が 喚起させられるようだ。  本日、生徒二人( とは言っても もう一人の方は 古布創作プロです )


先生の敷地には 蚕を飼っていたといわれる 格好の古い建物があり そして井戸水や洗い場も たっぷり、ゆったりで 染物をするにも 申し分のない環境。  おまけに太陽光線を 存分に享受できるスペース。  古布のしみや 賑やかしい ちょっと このままではねぇ〜っと 思われる柄模様を 色をかけて押さえたりしつつ 染め上げ 裂いて織り糸に。  いわば リサイクル法の一種。 


写真は チャコールグレーの化学染料使用。  同じ色のお風呂に入った布なのに 其々の持ち味で 発色が違ってくる面白さ。  入れた途端 勢い良くその色を吸い込む布、 じっくりじっくりの布、 最初に これだけの染料で十分ですと 決めた布は いくら浸しておいても それ以上吸い込んでいかない頑固者。  其々の布の個性で 同じ環境下に置かれても 画一化されるどころか より突出して その個性を表す面白さに 水面から目をはなせない。


「面白いねぇ〜」 つんつく、つく、つく 棒で布を押しながら 時間のたつのも忘れるほど 没頭しました。  染めた色は4色。  夫の漂白剤が飛んで まだらになった シルクの生成りのシャツ、  ミルクココア色に 見事再生。  よほど難しい工程を駆使したと 思った夫からは 絶賛され お湯で溶いて漬けただけとは 言えません。  横では先生が のぼり旗を 柿渋で染め そして木酢媒染(でしたっけ?) プーンと 燻製のようなにおいがたちこめます。  


雑務の対処に 追われた日から逃れ 太陽の下 幼き日の思い出が 名実ともに 色を帯びて 潤いと輝きを増した 一日でした。  先生、Aさん 有難うございました。