広島 あの日前後

  

アメリカに滞在中 「あの日」前後 広島原爆記 井上義国著の 英訳に 微力ながら 最後の段階で 少しかかわらせていただく機会があった。  経済界でも活躍されている 井上氏は 何度も話す機会は おありだったはずなのに 50年以上 原爆体験を 話されたことはなかった。  


ある対話中に 人の運命に お話が及んだおり、 マキャベリの言う 「人の運命は 努力によって変えられる」と言う説の 反駁として  井上氏は 広島原爆体験を 例に出された。  つまり、 原爆投下時に 何処に自分が 存在していた事で 運命が分かれたというお話をされた。 その体験が 人々の勧めで 新聞に連載され、 やがて英訳し 世界の人にも 読んでもらおうという 動きになっていったようである。  井上氏自らの 迫力ある挿絵入りで ジャーナル形式。


出版されてからは この本を読んでの読書会等も開かれ アメリカにも 70冊ほど寄贈され 図書館や読書グループに 配らせていただいた。  ただ、原爆と言うだけで アメリカでは反応が様々。  親日家で 広島にも出向き 本も読み 見学もされている人でさえ 「あの原爆投下がなかったら もっと多くのの犠牲者を出していたし 今の日本はないと思う」と いわれる方が多いので 驚愕した。  無差別にこんなに多くの犠牲者をだしておいて!っと なおさら 惨事を理解してもらいたく 読んでもらいたかった。


アメリカ人も この本の配布に力を貸してくれたが これは sensitive な issue なので 原爆投下時の少年の日記と 言った方が 多くの人に読んでもらえるよとの事。  嬉しい反応は 授業に取り上げ 井上氏とのコミュニケーションを 通じて この問題をこれからの課題として 考えていきたいと 教育委員会に勤める人からあった。  井上氏に お伝えし、 その後の事は お聞きしていないが 心を留めて 考えてみようという ポジティブな姿勢が 若い世代には 出てきていることも否めない。


8月6日、広島に そして9日、長崎に 投下された原爆の悲惨さを 「世界で唯一の被爆」の 国民として 忘れてはならない。