ルネ.ラリック

 


箱根、仙石原の大自然に 抱かれるように ルネ.ラリック美術館が 誕生して一年余り、 日本の友、海外から来た人たちにも好評で ご案内したい場所がまた 一つ増え喜んでいる。 先日も 雨の降ったり止んだりする中 足を運んだ。  


植物の枝や蔓を 連想させるような 曲線や流れを 特色とするデザインを 源流とした、アールヌーヴォーから 反動で、機械文明を肯定し 幾何学模様や機能的な美しさを 強調した アールデコまでを 体験したラリック。 まるで磁石に吸い取られたかのように その場に、思わず立ち止まってしまうような 美しい小さな装飾品から 室内の大きな 壁面や扉、ひいては オリエント急行等の 建築装飾品にいたるまで 双方の異なったデザイン様式の特色が ラリック独自のタッチで 生かされていると感動する。  


全体を通して ラリックは自然を愛し、 トンボや蝶などが ガラスのきらめきの中に 自由に遊んでいて 何時の時代でも 心を解き放たれるような 安らぎをもだらしてくれそうである。  もっとも、高価すぎて 手元に置けないのが残念。  


投げかける光の屈折が ガラスの凹凸で戯れ 陽炎のように揺らめき 中に 照明が組み込まれているのかと 前から後ろから見るに からくりはなさそう。 ラリックの魔術のような技!  日本文化にも深い関心を示し、丁度、ジャポニズムに影響を受けたラリックの作品、その素となった文様、京唐紙や金唐紙の展示もされていた。  


帰る頃には 雨もやみ、 静寂な庭の木々に宿る 雨露がきらめき 美術館の辺り一体が 透明感のある美しい シベリウスピアノ曲を 奏でているようだった。


北欧の友が、 「太陽光線の少ない私たちの国では 冬には ガラスに投影する灯りの中に 太陽を連想するの」と、語っていた。    


http://www.lalique-museum.com/